十三代・松井幸生

京都には「職商い」という言葉があります。それはものを一生懸命作りかつ商う、どちらかだけではいけないという意味を持ちます。
うちは正絹の裂地、しかも西陣織という京都にこだわった品物を商ってきました。合成繊維など他の商品には手を出せなかった代わりに、金襴に関しては「よそにないもの」という自負はあります。問屋には、品物を集めるだけでなく、コーディネートやオーダーを出すプロデューサー的役割もあります。そのためには、品物を見極める能力が必要となってきます。先代までの業績を忘れず、日々の研鑚を怠らないことが店の当主としての使命ですから、当たり前に、常日頃からよいものを見て素養を磨くなどアンテナをはりめぐらすようにしています。
海外のブランドのものづくりの姿勢には学ぶことがあります。彼らは老舗のメーカーでありながら、消費者の嗜好やニーズなどの研究を重ね、流行を生み出し若年層に受け入れられています。京都の伝統産業に携わる人たちや老舗と呼ばれる店も同様に試行錯誤を繰り返してニーズを探っています。しかし、「伝統産業」という言葉を聞くだけで古いものを作っているとか、時代遅れのような印象を抱くのではないでしょうか?
固定観念で考えず、昔からの技術を生かして現代のものを作っているということを認識していただけたら、と思います。そのための体験学習や工房見学などの情報提供もいいですが、お客様扱いをするだけでは意味がありません。ありのままを見せてあげることで「仕事」の真の理解が得られるのではないでしょうか。これからは、伝統や文化を子ども達に認識させていくことがもっと大切になってきます。日本人であることを認識させるにふさわしい土地であることを、京都に住む人がもっと意識していくべきでしょうね。

誉勘商店 松井幸生

略歴

1985年 3月
京都産業大学 法学部 卒業
1985年 4月
(株)矢代仁 入社
1989年 6月
(株)矢代仁 退社
1989年 8月
(株)誉勘商店 入社
京人形青年会 入会
1990年
京都伝統産業青年会 出向
1992年11月
(株)誉勘商店 常務
京都青年会会議所 入会
(結婚)
1995年 6月
(株)誉勘商店 代表取締役 社長
京人形青年会 会長 (任期:1年間)
1999年
伝統産業青年会 会長 (任期:2年間)
2000年
通産省臨時審議委員 就任
2001年
伝統的工芸品産業の啓蒙における奨励賞を経済産業大臣から受ける